宝塚歌劇団は、歴史がある劇団だからこそ昔ながらの上下関係や壮絶な稽古の慣習が受け継がれています。
それは、一歩間違えばいじめと受け取られるようなことも少なくなかったようです。
今回は、1970年に宝塚を退団した小柳ルミ子さんが語っていた「いやがらせ」から2023年宙組103期の有愛きいさんの事件まで、時系列にて宝塚OGの「いじめ」体験を調査しました。
【時系列】宝塚のいじめがやばいのは昔から!?総まとめ!
1970年小柳ルミ子の受けたいじめ
小柳ルミ子さんは、1970年に宝塚歌劇団に入団していますが、わずか2ヶ月で退団しています。
もともと歌手デビューを目指していた小柳さんは、宝塚歌劇団は歌唱や演技を経験する腰掛けと捉えていました。
宝塚音楽学校卒業生の梓みちよさんに渡辺プロダクションへ歌手希望を願い出たところ、「首席で卒業したら歌手にしてあげる」と言われ、実際に首席で卒業しています。
渡辺プロから歌手デビューは約束されましたが、舞台経験を積むように申しつけられ「夏川るみ」の名前で宝塚歌劇団へ入団して2か月後に退団しました。
小柳さんは、2007年に週刊誌のインタビューで、宝塚時代のいじめ体験として
などと語っていました。
2ヶ月という短期間にもいじめがあったのですね。
歌手デビューが約束されて成績も優秀だったようなので、嫉妬されてしまったのでしょうか。
1981年黒木瞳の受けたいじめ
黒木瞳さんは、1981年に67期生として月組の娘役として入団しました。
入団2年目で月組のトップスター大地真央の相手役に抜擢され、トップ娘役へと異例の出世を果たしました。
スピード出世のため、周囲から嫉妬されて陰湿ないじめを受けていたといいます。
学校・劇団の規則や人間関係の厳しさは(ご本人曰く)「慣れれば大丈夫だった」といいます。
黒木さんのいじめ体験は、団員だけでなくファンからの嫌がらせもあったようです。
- 無意味に正座させられる等のイジメを受けていた。
- ファンを自称する女性からの差し入れとして、砂入りのサンドイッチを届けられたり、カミソリを送られたこともあると明かしている。
「楽屋入りのとき、“ファンです。がんばってください。これ、食べてください”。女の子がふたり、私に手渡してくれたサンドウィッチ(中略)一口食べたら、“ジャリ”と口の中で音がした。サンドウィッチにたくさんの砂が入っているのだと理解できるまで、二秒」
トップ男役の大地真央さんのファンからも嫉妬され嫌がらせを受けていたようです。
これはトップスターの相手役として逃れられない宿命かもしれませんね。
1987年天海祐希の受けたいじめ
天海祐希さんは1987年の入団後わずか半年で新人公演の主演に抜擢されました。
その後、男役史上最速の入団7年目で、月組のトップに上りつめていて、天海さんの出世は伝説になっています。
2021年10月27日放送の『news23』(TBS)に、天海さんが出演しインタビューの中で、自身に対するいじめがあったことを告白しました。
天海さんの方から、「いじめ問題とかいっぱいありますでしょ」といじめをする人に怒りをあらわにしながら語り始めました。
インタビュアーが「天海さんもいじめられた経験が?」と質問すると、天海さんは、
「ありますよ。もちろん。小学校の時もそうですし、宝塚時代も。人の悪意というもの。それに立ち向かうことも勇気の一つだけど、そんなものは自分の世界からなくしてしまっていい。だから逃げていいの。本当にまだまだ、すてきな未来が待っているから。そこの一瞬だけがあなたの人生のすべてではないから。たくさんの未来があって、この世界はとても美しいと思うから。それをぜひ見てほしい。」
と今いじめを受けている人へアドバイスとエールを送りました。
天海さんのいじめ体験として噂されているのが、
- ステージでの早変わりの衣装を隠された。
- 天海祐希も羽根に色々細工されて危険だから卒業公演まで背負わなかった。
いじめ被害者である天海さんからのアドバイスは今いじめを受けている人の心に届いたでしょうね。
1992年檀れいの受けたいじめ
檀れいさんは、1992年に78期生として入団すると1999年、月組トップスターとして絶大なる人気を誇っていた真琴つばささんの相手役に大抜擢されました。
これが檀さんがいじめを受けるきっかけになったようです。
実は檀の同期で歌も踊りも上手と評判だった千紘れいか(40才)が、相手役に選ばれると目されていた。
「蓋を開けてみれば、選ばれたのは檀さんでした。これにショックを受けた千紘さんは、宝塚を電撃退団してしまうんです。結果として檀さんが千紘さんを追い出す形となってしまいました」(宝塚関係者)
以来、檀さんは宝塚内部からもファンからも猛烈なバッシングやいじめを受けることになります。
檀さんのいじめ体験は宝塚関係者が語っています。
- ファンレターの中にカミソリが入っていた。
- 楽屋口を出るときに、ファンに足を引っかけられたりというのは日常茶飯事。
- 誰からも食事に誘われたりすることはなく、毎日のように檀さんはメイク室で泣きながら、ひとりでたまごかけご飯を食べていた。
そんな檀さんに相手役の真琴さんは声を掛けてくれたそうです。
「真琴さんは檀さんを食事に誘い、“歌や踊りは努力でうまくなるけど、見た目のきれいさはどんなに努力してもなれない。だから自信を持ちなさい”と励ましたそうです」(前出・宝塚関係者)
それを聞いた檀さんは救われた気持ちになり、「私と仲よくしてください」と真琴さんに言いましたが、「あなたとは仲よくしたくない」という意外な言葉が返って来たそうです。
真琴さんの真意は、意地悪ではなく、以下のような理由だったようですが、檀さんは受け止められる心理状態ではなかったようですね。
「真琴さんにしてみれば、“仲よくなりすぎてしまうと、緊張感が保てなくなり、いい舞台ができないから”という思いだったんです。でも、ようやく信頼できる人ができたと思っていた檀さんからしてみれば、ショックは大きかったみたいですよ…」(前出・宝塚関係者)
1998年はいだしょうこの受けたいじめ
はいだしょうこさんは、1998年84期生として入団すると、2001年には星組公演『ベルサイユのばら2001』で入団3年目にして初のエトワールを務めました。
2002年に宝塚歌劇団を退団すると、持ち前の天然不思議キャラを生かして、歌のお姉さんやマルチタレントとして活躍しています。
2014年9月7日放送のFBS福岡放送『ナイトシャッフル』に出演した際、福岡の街をグルメロケしながら、宝塚でのエピソードを明かしています。
まず、16歳で宝塚音楽学校に入学したはいださんを待っていたのはこれまでの一般社会とは違う、鉄のルールがある世界だったといいます。
上下関係が厳しく「1年目は笑ってはいけない」というルールがあり宝塚は音楽学校1年生が1番厳しかったといいます。
はいださんの受けたいじめ体験は、
理由はわからないが怒鳴られた。
はいださんのキャラクターなのか、「怒鳴られてもなんで怒鳴られているかわからなかった」と笑い話として明かしていたようですが、そんな宝塚での日々を振り返って、「私の基礎を作ってくれた場所」と目を潤ませていたので、やはり当時は辛かったはずですね。
当時はいださんを支えたのは、元宝塚・星組男役トップスターの安蘭 けいさんだったそうです。
「星組先輩にいじめられたとき いつも助けてくれたのがとうこさんだった」と話しています。
おととい、テレビの収録で、偶然
ご一緒したのは。。。
元宝塚・星組男役トップスター
「安蘭 けい」さんでした
とーこさん(安蘭さん)は、宝塚一、性格がいいのではないかな
と、私は思っています。
損得を考えず、誰に対してもおなじで、上級生にも、下級生にも、み~んなに慕われていましたっ
それに、お歌もお上手で、本当に素敵な方なのです
そんな、歌はもちろん、人として尊敬する「とーこさん」に久しぶりにお会いできて、しかも、宝塚ではなく、また違う場所で同じ番組に出られるなんて幸せでしたっ
引用元:はいだしょうこ公式ブログ
味方になってくれる人が近くにいれば、辛いことがあっても乗り越えられますよね。
2008年96期鈴木郁子いじめ事件
宝塚のいじめ問題の中でも、『96期生の宝塚音楽学校いじめ事件』は裁判にまで発展した大きな事件でした。
この事件は、鈴木郁子さんという女性がいじめの対象になりました。
その理由は、
- 同期の同級生から無視。
- 「存在を消して」「死ねばいいのに」「私の視界に入るな」「実家から戻るな」といった罵詈雑言を毎日浴びせられる。
- 顔面を平手打ちされた。
- 私物を捨てられた。
- 外出禁止と言われ寮内では見張られた生活を送っていた。
- 身に覚えのない数々の万引き、窃盗の疑いをかけられていた。
その後この窃盗容疑などが原因で、学校から退学処分を受けたことで、被害者の鈴木さんは裁判を起こし、退学処分の取り消しと慰謝料1000万円を求める申し立てをしています。
そしてこの裁判は学校側と和解することで終結し、宝塚にもう入団しない事が条件ですが退学処分取消と卒業資格を受ける事、額は非公開ですが慰謝料が支払われたようです。
和解できたとはいえ、学校から容疑を掛けられ退学処分を受けた鈴木さんの心の傷は癒えるものではありません。
2018年106期A子の受けたいじめ
2023年10月18日に文春オンラインにて106期生のA子さんが、先輩のB子さんからいじめを受けて寮のバルコニーから飛び降りる事件があったことが報じられました。
A子さんは一命は取り留めましたが、その後退学したとのことです。
5年前の2018年6月に、宝塚音楽学校に入学したばかりの予科生A子さんが、苛烈なパワハラを苦に寮のバルコニーから転落し、兵庫県内の病院の集中治療室に搬送され、全治3週間の全身打撲を負っていたことがわかった。A子さんの家族は学校側に再発防止のため保護者会の開催や第三者委員会を設置したうえでの調査を幾度も求めたが、そうした警鐘は黙殺されていた。同年末、A子さんはひっそりと退学した。
引用元:文春オンライン
106期生は入学時40人でしたが、卒業したのは39人でした。
A子さんだけが卒業出来なかったということになります。
A子さんのご両親は再発防止のため、事実の公表と、第三者委員会を設置しての原因解明を求めていましたが、劇団側は「ご本人のこれからの人生やプライバシーを守るため、公表はいたしませんでした」としています。
文春記者がA子さんの父親に取材を申し込むと「一つ言えることは、宝塚の隠蔽体質は当時から何一つ変わっていないということです。」と語っていたようです。
2021年星風まどかの受けたいじめ
星風まどかさんは、2014年に100期生として入団してすぐに頭角を現します。
2017年宙組トップ娘役就任は、100期から初のトップ誕生となり、1998年に創設された宙組から誕生した初の生え抜きトップともなりました。
真風涼帆さんの相手役として、翌年の「天は赤い河のほとり/シトラスの風」でトップコンビ大劇場お披露目となりました。
しかし、星風さんはこの真風さんからパワハラを受けていたと2023年1月に週刊文春が報じています。
星風さんの受けたいじめ体験は、
- 幹部部屋に呼び出し、反省するよう1時間の正座を命じられた。
- 「下膨れ顔」「デブ」などと罵倒された。
それを劇団は見て見ぬふりをしていましたが、星風さん自ら罵倒を録音し、イジメを訴えた後、組を異動していたことなども報じられました。
罵倒された音声を録音し劇団に証拠として提出して、異例のトップとしての組替えになったようなので、もし事実であれば、実力もありますが、とても強く行動力がありますね。
しかし、加害者とされる真風さんはパワハラを完全否定していますし、真風さんはすごく面倒見が良く、メイクを教えてもらったと語る娘役の映像も残っています。
真風さんの言葉を信じたいですね。
2023年有愛きいの受けたいじめ
有愛きいさんは、2017年に103期生として入団しました。
有愛さんの受けたとされるいじめ体験は、
- 4人の上級生から『下級生の不手際は、すべてお前の責任だ』と集団リンチのような目にあっていた。
- 『マインドが足りない。マインドがないのか!』『この嘘つきが!』『嘘つき野郎』と罵声を浴びせられる。
- ヘアメイク中、ヘアアイロンをおでこに押し付けられ火傷させられる。
そして9月30日、有愛さんは兵庫県宝塚市の自宅マンションから飛び降り亡くなるという痛ましい事件が起こりました。
いじめにより尊い命が奪われるという最悪な結果となり、宝塚歌劇団は外部の弁護士による調査チームにて関係者へのヒアリング等を行っているようです。
1970年の小柳ルミ子さんから最新の宝塚のいじめ問題を調査しましたが、今回の有愛きいさんのような悲劇を二度と繰り返さないように願います。